パンッと何かが耳の近くで鳴った。
チリチリと頬が熱い。
女王候補の、目を丸くして僕を見た事でヴィクトールに「何か」されたのだと分かった。
ヴィクトールは・・・ただ怒っているという表情ではなかった。
彼のあんな表情を見るのは初めてだった。

「いい加減にしろセイラン。本当に一体どうしたというんだ最近のお前は・・・アンジェリークと何があったかは知らんが、仕事に私情を持ち込むのは感心できないぞ。それに今の言葉、女王だけでなく女王候補までも侮辱する気か。アンジェリークに謝れ。」

「・・・・・・。」

何も言い返せない。彼に叱られて悔しいとか悲しいとか、そんな感情すら出てこない。今自分がどんな顔をして彼を見ているのかさえ分からない・・・でも、ああ今分かっているのは・・・

「・・・女王陛下への発言は聞かなかった事にしておく。アンジェリーク、お前も・・・女王陛下への発言は聞かなかった事にしてくれないだろうか。お前を傷つけてしまった事に関しては本当に、済まない。セイランにもよく言っておく。だから、今は・・・・・・。アンジェリーク、部屋まで送ろう。」
彼は、僕の謝罪の言葉を待っても無駄だと分かったらしく、彼女を促し扉へ歩き出した。

「セイラン様、し、失礼します。」

扉を閉める際にとりあえずな挨拶をする彼女。

バタン。

扉が閉まる音で、僕はハッと気がつく。

そう、これは、完全な僕だけの暴走。

でも、今日の事で分かってしまった。











ああ、そうだよ僕は。

彼のあの目が見たかったんだ!

ああ、そうなんだよ。

好かれなくていいんだ!

愛されなくていいんだよ!

見たかい、あの微弱ながらも侮蔑と憎しみに満ちたあの目を。

ああ、見たとも。自分の目にしっかり焼き付けたさ。

だって、彼のあの目が見たかったんだもの!

仕事の会話をしていても、

日常の会話をしていても。

あんな感情の入り混じった目では、絶対に僕を見てはくれなかったからね。

だって、僕だけをあんなに見つめてくれたのは、初めてだから。

ゾクゾクしたよ。

ドキドキしたよ。





そして僕は、ますますアナタを欲しくなった。



-Fin-














・・・お前(セイラン)、全然ヴィクの話聞いてないし反省して無いじゃん!(爆)
ウチのセイランはストーカー&ガイキチ気質満載です・・・。
我々はこういう人間になるのも関わるのも遠慮したい現実ですけどな〜。
えっと、とりあえず・・・ちょっと相手を怒らせてみたいという、屈折したセイランを
書いてみたかったという事で(^^;)。



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